フェリーは午後の便です。それまでにすることは何もありません。
思い出したというか、北海道といえば忘れもしない数日間があったので、それを記します。
これまで、北海道には何回か、多分10回くらい訪れています。勤め人だったのですべて夏。
渡道手段は、フェリー、自走して青森から、かつてのカートレイン、モトトレインなど様々です。
自転車、オフバイク、1ボックス車、キャンピングカーなど足も様々です。
で、近々の渡道は2016でした。足は原付。
ジャイロキャノピーです。
プロフ画像がそれです。(場所は宗谷丘陵の「白い道」)
当時、今年の夏はどうしよっかなー、家族も着いて来んし。おもしろい過ごし方ないかなー」と考えていて、閃いてしまいました。
「キャノピーって最強のツーリングバイクじゃね?だって、4stだから燃費いいし、航送料金安いし、青ナンバーにしてたのでヘルメットいらんし、ピザボックス積んでるので荷物たくさん載るし」
ネガティブな件はスピードがせいぜい60km/hだったことくらい。
(当時、自分は通勤&釣り用にHONDAのジャイロキャノピーをミニカー登録で乗ってました。ミニカー登録にするとノーヘルで大丈夫です。)
その年は迷わす、「キャノピーでのんびり巡る北海道20日間」に決定!
バイクなのに釣り竿も積んじゃってました。
はじめはイメージ通り。とても素敵なのんびり周遊を楽しんでました。
ところが。。。。。キャノピーの大きな弱点が露呈してしまいました。
それは。。。。
単なる力不足。平地をとことこ走る分なら何ら問題ないですが、問題は峠。
北海道有数の峠、日勝峠で悲劇が起きました。結果的には何とか峠越えできましたが、「クラッチの焼き付き」という大きなケガを負ってしまったんです。
スクーターはチェーンでなくベルト駆動で、そのベルトと遠心クラッチが高摩擦で接することによって車軸に動力が伝わりタイヤが回る仕組みです。が、その遠心クラッチが過負荷で加熱しすぎてしまい、ベルトの駆動にかみ合わなくなって滑ってしまったんです。(わかりずらいですね)
要は、アクセルを回しても、ニュートラルと同じで回転数が上がっても駆動がタイヤに伝わらない状態みたいなものです。まともに走ることができなくなりました。
素人な自分的に言うと、遠心クラッチが熱をもたなかったら何とかベルトと嚙み合って走ることができる。しかし、発熱したらベルトがずるずるにすべってしまう。という。。。。
具体的には、「超ゆっくり、15km/l程度の自転車並みの速さで負荷のかからない勾配なら何とか。。。」なわけです。
(ちょっとくどいか;;;;)
この時、自分は日勝峠を東に越えた帯広にいました。
JAFやら保険屋からに問い合わせて、解決に努めました。でも、帯広の街にはヤマハの店はあっても、HONDAの店は無く、解決できませんでした。札幌のHONDAに問い合わせてもクラッチお届けまで1週間ほどかかる。でした。
思案です。。
「どうやって自宅に帰還するまでの見通しを持つか」が第一案件です。そのためには、フェリー港の苫小牧までバイクが移動すること。
このままだと、バイクを帯広の街に捨てていかなければなりませんから。
JAFが運んでくれた、ヤマハショップの店員さんの意見を聞きながら、苦肉の方法に決定しました。
それは、「襟裳を迂回して海沿いをひたすら進む。」
それが最も勾配の影響を受けないルートだからです。
帯広から苫小牧までは峠越えの最短ルートだと150km。ところが、襟裳迂回だと350kmにもなります。それも、クラッチが滑らない自転車並み15km/Lほどの速度で。。。
単純に考えて、20時間以上実際にはそれ以上かかるでしょう。
気が遠くなりましたが、他に選択肢はなく、それに決定しました。
そこへさらに悲劇が。。。
これは、前述したように2016の出来事です。この年の8月は何十年ぶりか?もしかしたら初めてか?出来事が。
それはこの年の8月中下旬に1週間の間に3つの台風が北海道を直撃したんです。まさにその中にいました。初めの2つの台風では、身の危険を感じ、安ホテル泊しました。正解でした。夜の間中スマホに警報メールがなりひびきましたから。
で、3つ目の台風と。。。もろにバッティングしました。
この3つ目の台風はかなり強力で、日勝峠の国道をずたずたに決壊・分断しました。幹線道路が無くなったせいでこの区間の高速道路が一時的に無料にもなりました。
上陸タイミング、予想進路とも自分が進む方向にばっちり合致しました。
襟裳大回りという苦肉の案さえも吹っ飛ぶ恐れがありました。
「このままだと襟裳黄金国道が通行止めになるかも。いや、もうなっているかも。」
急に不安になり、通りかかったセコマに立ち寄り道路状況を問い合わせました。
「今のところ黄金国道は通れるよ。だけど通行止めになる可能性高いから少しでも早く行った方がいいよ」との進言をもらいました。
しぶしぶ選択したのに、そこすらも通れなくなるの?
かなりやばい精神状態。「もうめんどくさ。なるようになるでしょ」
と黄金国道に進みました。幸い通行できました。もちろん車はほぼ走っていません。台風のピークに入りました。夜中で周りは真っ暗。国道にまで波しぶきが飛んできます。海鳥さえも道路に避難してます。黄金国道はトンネルが長いことで有名ですが、このトンネルもある意味恐怖。
そんな状態で自転車速度でとことこ。。。
緊張感もあったので、不眠不休でした。感情を抜き、暴風雨の中をひたすらとことこ。
挙句には脳内で、現時点の不幸な人ランキングを考えてました。「襟裳だけなら自分が№1に不幸だな。いぇーい。北海道全体だったらどうだろう?不幸者トップ10までには入るかも。いぇーい。全国なら。。。」なんて自虐し、一人苦笑しながら走ってました。
帯広を午後3時ころに出発して、苫小牧のフェリー港にたどり着いたのは翌日の午後2時ころでした。ほぼ丸1日自転車速度走行してました。終盤はバイクなのに居眠りっぽい運転になっていたことを覚えてます。フェリー港には適当に停めました。
そして、まずは待合で安堵のビールを飲み、ベンチで寝ました。
夕方ごろに目覚めて、バイク放置で自分だけ札幌に向かいました。
帰りのフェリーまで数日あったのでその数日間を足無しで札幌で過ごそうと考えたからです。
そこからの数日はすすきのの安ホテルを起点に過ごしました。
おかげで狸小路界隈の有名ラーメン屋はほぼほぼ制覇できました。この期間に食べたものはラーメンしか記憶にないくらい。10軒は行ったと思います。やけ食いでした。
乗船の日になったのでバイクを放っておいた苫小牧に向かいました。
バイクは無事でした。
そのまま、慎重に乗船し、何とか名古屋港にたどり着きました。名古屋から自宅までまだ100km以上あるけど安堵しかなかったです。
後に分かったことですが、バイクはクラッチの焼けはもちろんだけど、駆動系にも大ダメージを受けていました。簡単に言うと、車軸の受け部分が、変な摩耗をしてしまってました。なので、名古屋から静岡県の自宅まで、ゆっくり。それこそロードタイプの自転車に抜かれながら、駆動系の傷みからガタギシガタギシ言わせながら帰りました。
という思い出。
普通の原付ならまだしも、キャノピーのような重いバイクで北海道周遊するなら、くれぐれも峠を避け、主に海岸沿いを進むよう強く強くお勧めします。
以上、長文だらだらと失礼しました。
蛇足。。。
帰宅後だったか、名古屋だったかは覚えてませんが、給油しました。そしたら半分も入りませんでした。満タン7L弱のバイクです。たしか3Lほどだった気が。。。
と間違いなく300km以上走ったのにたった3Lの消費?
原付の燃費のすごさに驚きました。